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パ・リーグ開幕3連戦を振り返る!今後の期待と不安は?(前編)

3月28日より日本プロ野球が開幕。パ・リーグは2位に13.5ゲーム差を付ける圧倒的な強さで優勝した福岡ソフトバンクホークス、新庄イズムが定着した北海道日本ハムファイターズが優勝候補だが、新監督を迎えたオリックス・バファローズ、西武ライオンズにも期待が集まっている。そんななか、序盤の勢いを決める開幕3連戦が終了。各チームの戦況とともに、不安要素と期待の選手などについて言及していく。前編では福岡ソフトバンクホークス、埼玉西武ライオンズ、オリックスバファローズの3チームについてお届けする。※トップ画像出典/Pixabay

Icon setodaiki ph 瀬戸大希 | 2025/04/09

王者・ホークスがまさかの3連敗スタート

戦力を補強して連覇を狙う福岡ソフトバンクホークスは、本拠地で千葉ロッテマリーンズと開幕3連戦を迎えた。

開幕戦は、エース・有原航平が登板。5回まで完璧なピッチングだったが、6回に突如崩れて7回7失点で降板。スタミナ切れで勢いがなくなったボールを痛打された。打線は山川穂高のタイムリーで先取点を奪ったが、その後はチャンスで打てず、屈辱の開幕黒星を喫した。2戦目は、3回に近藤健介の犠牲フライで先制するも、5回に先発・大関友久が3ランを被弾して逆転を許す。リードを奪い返したが、6回には中継ぎの切り札・杉山一樹が同点弾を浴びて延長10回に突入。すると抜群の安定感を誇る藤井皓哉も打たれて連敗となった。

さらに3戦目は新戦力の上沢直之が6回1安打1失点と好投を続けていたが、ピンチの場面で速球左腕・ヘルナンデスに交代。しかし、これが裏目に。ポランコにストレートを打たれて2点差に迫られると、岡大海にも痛烈な同点打を浴びて継投策は失敗。後続の投手も打たれて逆転負けに終わった。こうして、37年ぶりの開幕3連敗を喫してしまったホークス。常勝軍団にとっては、まさかの開幕カードとなった。

自慢の中継ぎ陣が崩壊、海野のリードに不安も…

開幕カードで課題となったのは、3連戦で計20失点した投手陣だろう。先発投手では3戦目を投げた上沢はまずまずだったが、有原や大関は本来の実力を出せなかった。また、深刻なのは中継ぎ陣だ。右腕の藤井、杉山をはじめ、期待の剛速球投手・尾形崇斗、左の中継ぎエース・ヘルナンデスも打ち込まれ、万全とされていた中継ぎリレーの雲行きが一気に怪しくなってきた。この要因として、甲斐拓也が抜けて正捕手になった海野隆司、2番手・谷川原健太への信頼関係が築けていないことも大きいだろう。

絶好調の柳田!しかし近藤は離脱

打撃面でのプラス材料は、柳田悠岐の復活だ。昨季は52試合の出場に留まった柳田が好調をキープ。差し込まれながらもフルスイングでホームランを放った打球は、全盛期の凄みを感じさせた。また、代役で開幕スタメンに抜擢された正木智也が3戦目に会心のホームランを叩き込むなど、期待に応えた。

マイナス要素はチームの要・近藤の離脱だ。腰の張りがありながら開幕3連戦は出場。しかし無理をしたせいか、開幕カード後に登録抹消が決まった。中継ぎ陣の急整備と近藤の穴を埋めることができるかどうかで、序盤で優勝争いから脱落する可能性があるかもしれない。

西口新監督を迎えるも開幕3連敗したライオンズ

昨季91敗を喫してリーグ最下位に沈んだ埼玉西武ライオンズは、生え抜きエースだった西口文也が監督に就任。新体制で北海道日本ハムファイターズとの開幕カードを迎えた。

開幕戦は、2年連続開幕勝利を目指したエース・今井達也が好投。150キロ台のストレートと鋭く変化するスライダーで6回まで無失点に封じていたが、清宮幸太郎とレイエスの2発に泣いた。一方、新外国人が加入した打線は繋がりを欠いて0-2で敗戦。2戦目は、緊迫した接戦に。先発を託された大型右腕・渡邉勇太朗は序盤こそ連打を浴びたが、7回2失点でゲームを作る。1点を追う8回にルーキーの渡部聖弥が巧みな打撃でタイムリーを放って同点とするも、延長のマウンドに上がったウィンゲンターが攻略されて、連敗となった。

3戦目は、昨季0勝11敗からの復活に燃える高橋光成が登板するも、5回7安打6失点でノックアウト。いずれもファイターズの4番・野村佑希から先制打、2本のホームランを浴びての失点で野村一人にやられた形となった。打線はネビン、セデーニョの両外国人が打点を挙げるなど粘りを見せたが5-7で敗れ、昨季のチーム状況を彷彿とさせる3連敗を喫した。

渡部聖、西川ら若手外野手が躍動、守備職人でチームリーダー・源田の長引く不振

3戦ともに先発陣はよかっただけに、昨季同様に繋がりに欠ける打線が最大の課題だということが浮き彫りになった。長打力のあるネビン、セデーニョ、中村剛也らの活躍がない限りは、浮上はないだろう。

そんななかでもポジティブな要素もあった。ルーキーの渡部聖弥が打率.455と物怖じしない力強い打撃を披露した。また、同じ外野手の西川愛也は打率.385で2盗塁と持ち味を発揮。若いパワーがチームの雰囲気を変えられるか?

その一方で、3連戦で絶不調だったのは源田壮亮。10打数ノーヒットで、守備でもやや精彩を欠くシーンが見受けられた。チームリーダーでもある源田の復調もライオンズに不可欠だろう。

2勝1敗もチームバランスのいいバファローズ

昨季Bクラスに沈んだオリックスバファローズは開幕3連戦で東北楽天ゴールデンイーグルスと対戦した。

開幕戦では、日本を代表するサウスポー・宮城大弥が圧巻の投球を見せた。150キロ超えのストレートと80キロ台のスローカーブで緩急を自在に操り、イーグルス打線を手玉に取った。しかし、8回でパーフェクト投球が途切れると、代わったマチャドが同点打を打たれて嫌な流れに。それでも、9回に女房役の若月健矢がサヨナラタイムリーを放ち、開幕勝利をもぎ取った。

2戦目は、FAで加入した九里亜蓮が移籍後初先発で6回2失点と好投。打撃も昨季絶不調だった頓宮裕真にホームランが飛び出し、粘りを見せたが延長戦で力尽きた。3戦目は、期待のホープ・髙島泰都が先発。5回を1失点にまとめると、4番・杉本裕太郎がレフトスタンドに弾丸ライナーのホームラン、太田椋のタイムリーなどで着実に加点し、6-1で勝利。開幕カードを勝ち越した。

頓宮、太田、西川が好調!ベテランも続けるか

2勝1敗ながら、順調なスタートを切ったバファローズ。特にチャンスが打てなかった打者たちが今季は絶好調だ。3戦で打率.400をマークした頓宮、4打点の太田、天才的な打撃で打率.417を記録した西川龍馬など、勢いに乗る打者が多数。ベテラン・杉本や福田周平らにも当たりが出てくれば、上位進出も可能だろう。