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パ・リーグ開幕3連戦を振り返る!今後の期待と不安は?(後編)

プロ野球が3月28日より開幕。開幕前の予想で、パ・リーグは豊富な戦力を誇る福岡ソフトバンクホークスを北海道日本ハムファイターズ、オリックス・バファローズ、千葉ロッテマリーンズが追う流れになると評する人が多かった。そんななか、序盤の勢いを左右する開幕3連戦が終了。各チームの戦況とともに不安要素と好調な選手、今後の展望について言及していく。後編は千葉ロッテマリーンズ、東北楽天ゴールデンイーグルス、北海道日本ハムファイターズの3チームを紹介する。※トップ画像出典/Pixabay

Icon setodaiki ph 瀬戸大希 | 2025/04/10

投打が嚙み合ったマリーンズがホークスを3タテ

昨季は3位に終わった千葉ロッテマリーンズは、優勝した福岡ソフトバンクホークスと開幕3連戦で対戦した。

開幕戦は、昨季12勝を挙げた大黒柱・小島和哉が登板したが、制球を乱して4回4安打4四球1失点で降板。しかし、継投した中森俊介、鈴木昭汰らが好投。すると佐藤都志也のホームランを皮切りにホークスの有原航平を攻略。終わってみれば8-2の完勝で開幕勝利を手にした。2戦目はシーソーゲームに。パンチ力を備える岡大海の3ランホームランで逆転するも、すぐ同点に追いつかれる。それでも延長10回に再び岡がタイムリーを放ち、リードを奪った。最後は守護神・益田直也が貫録の投球で接戦を制した。

3戦目は先発した種市篤暉が6回4失点と苦しむものの、5回にソトの一発で口火を切ると、6回にはポランコが得意のストレートを打ち返して2点差に迫ると、絶好調の岡が会心の打球を放って同点タイムリー。その後はホークス投手陣のミスに付け込んで、7-4で圧勝した。投打が嚙み合ったマリーンズが昨季王者から3連勝を飾って、予想を覆す好スタートを決めた。

19歳右腕・木村優人が堂々のデビュー

開幕3連勝という申し分ないスタートを切ったマリーンズだが、強いて課題を挙げるならば、先発ローテーション陣の不安定さだろう。開幕投手の小島をはじめ、ボス、種市は甘い球が目立ち、やや精彩を欠いた。次戦以降に修正できるかがカギになるだろう。

その一方で、若手投手が躍動した。3戦目に中継ぎした19歳の木村優人はプロ初登板ながら堂々とした投球を披露。150キロ超えのストレートと縦に大きく曲がるカーブで強力打線を抑えた。また初戦の中森、2戦目にはダイナミックなフォームが魅力の高野脩汰も好投。若手投手たちの台頭を見る限り、今季のマリーンズは乗っていけそうだ。

攻守で能力の高さを見せたルーキー・西川史礁

打撃面のポジティブな要素でいえば、ドラフト1位ルーキー・西川史礁の活躍だろう。開幕戦では、有原が投じたインコースの難しいボールをコンパクトに振って決勝タイムリー。守っては、素早い動きでホームに返球して失点を阻止するなど、攻守でも能力の高さを発揮した。

西川の活躍で藤原恭大や髙部瑛斗、山口航輝といった若手外野手が刺激を受け、好循環が生まれるはずだ。マリーンズの快進撃は続くのか。序盤の戦いに注目したい。

接戦を落として負け越しで終わったイーグルス

昨季は交流戦で優勝するものの、Bクラスに沈んだ東北楽天ゴールデンイーグルスは、オリックスバファローズと開幕カードで対戦。

開幕戦は、コントロールが自慢のエース・早川隆久とバファローズのエース・宮城大弥の投げ合いに。しかし、8回まで宮城の前に打線が沈黙。一方、早川は6回2失点でゲームを作るも無念の降板。嫌な流れが漂うなか、ようやく内野安打で完全試合を防ぐと9回には期待のルーキー・宗山塁が鮮やかな初タイムリーを放ち、同点に追いつく粘りを見せる。しかし、中継ぎエース・鈴木翔天がサヨナラ打を打たれ、開幕勝利は逃した。2戦目は、代役登板となった左腕・古謝樹が5回無失点と好投。打線もバファローズ・九里亜蓮から小郷裕哉のタイムリー三塁打などで2点を奪うものの、中継ぎを担う藤平尚真、鈴木が打たれて同点に。古謝の勝利は消えたが、延長10回にベテラン・阿部寿樹、鈴木大地の連続タイムリーで勝ち越して、今季初勝利を収めた。

3戦目は、2023年8月以来の1軍登板に臨んだ辛島航が先発マウンドに上がったが、2回途中7安打3失点とめった打ちにされて降板。技巧派左腕は復活を果たせず。打線も11安打を放ちながらチャンスで打てず、完敗を喫してカード負け越しとなった。

いぶし銀のベテラン・阿部寿樹が5割超えで絶好調

最大の課題は長打力不足だろう。主砲・浅村栄斗が不振に陥り、助っ人のフランコやパワーのある伊藤裕季也も現状では長打を期待できない。これでは相手ピッチャーは楽に高めやストライクゾーンを攻めてくることができる。ルーキー・宗山、小郷、辰己涼介、小深田大翔らが左打ちの好打タイプだけに、長打で彼らを返すようなバッターの登場が必須だろう。投手陣も辛島が完全復活まで時間がかかりそうで、中継ぎも安定感を欠いたことも不安要素だ。

数少ないポジティブ要素としては、ベテラン内野手・阿部寿樹が絶好調なことだろう。打率.556と打ちまくり、チームを引っ張った。阿部に負けじと、他の打者も調子を取り戻せば連勝も見えてくるだろう。

圧倒的な打力で勝ち越した新庄ファイターズ

昨季2位に浮上した勢いに乗って、9年ぶりの優勝を目指す北海道日本ハムファイターズは、埼玉西武ライオンズとの開幕3連戦を迎えた。

開幕戦は、初の開幕投手に抜擢された金村尚真が9回を投げ切ってライオンズ打線を完封した。中盤以降はたびたび得点圏にランナーを背負うものの、多彩な変化球を駆使した粘りの投球でしのぎ、好守にも助けられた。打線は、ライオンズ・今井達也の高速スライダーに苦戦するものの、清宮幸太郎とレイエスに特大のホームランが飛び出し、2-0で先勝した。

2戦目は、緻密なコントロールで打ち取る加藤貴之が先発し、6回を無失点に抑える。2点を先制して逃げ切りに図ったが、中継ぎが打たれて同点に。しかし、延長10回にチャンスを作ると小兵選手の上川畑大悟がセンター前に弾き返して決勝点を奪い、連勝した。3戦目は、新庄剛志監督から開幕4番に指名されていた野村佑希が大活躍。初回にいきなり先制タイムリーを打つと、思い切りの良いスイングでレフト方向へ2打席連続ホームランを放ち、監督の期待に応えた。先発・バーヘイゲンは5回2失点でゲームを作り、逃げ切った。昨季終盤の勢いを感じさせる3連勝となった。

野村、清宮、レイエスの特大ホームランで勢いに

最高のスタートダッシュを切ったファイターズ。その中でもチームの士気を上げたのは4番の野村、清宮、レイエスのホームランだろう。パワフルな打撃力はリーグ屈指で、万波中正やマルティネス、郡司裕也、移籍してきた吉田賢吾らもいるだけに他チームは脅威だろう。中継ぎの黄金リレーが定まっていないことが不安要素ではあるが、この打力があれば心配は少なさそうだ。