
もしも、あのボールが外に出ていたら——「三笘の1ミリ」が変えた日本の運命
2022年12月2日、カタール・ワールドカップのグループステージ最終戦。日本代表はスペインと対戦し、試合の行方は世界中の注目を集めていた。前半、モラタに先制を許し、日本は厳しい状況に追い込まれる。しかし、後半に堂安律の同点弾が炸裂し、そして試合を決定づけたのが、日本代表MF三笘薫の「奇跡の1ミリ」だった。 後半6分、三笘がゴールライン際ギリギリで折り返したクロスを田中碧が押し込み、VARの結果、ゴールが認められた。この瞬間、日本はスペインを2-1で破り、グループEを首位で通過するという快挙を成し遂げた。 しかし、もしあのボールがラインを割ったと判定されていたら? もしあのゴールが認められなかったら? そう考えると、日本代表の運命だけでなく、ワールドカップ全体の展開さえも変わっていたかもしれない。※トップ画像出典/Getty Images

「奇跡の1ミリ」——VARが導いた歴史的瞬間
あのシーンを思い出してほしい。堂安のシュートが弾かれた瞬間、三笘は全速力で駆け込み、ギリギリのタイミングでクロスを折り返した。ボールはゴールラインを割っていたように見えたが、VARが導き出した結論は「インプレー」。ボールの一部がライン上に残っていたことで、日本の逆転ゴールが成立したのだ。

この判定は、試合後も世界中で議論を呼んだ。SNS上では「これは本当に入っていたのか?」「カメラアングルによっては完全にアウトに見える」などの声が飛び交い、FIFAは後に正確なVAR映像を公開して説明を行った。
もしこのゴールが取り消されていたら、試合は1-1のまま進み、日本は勝ち点4でグループ3位。スペインとドイツが決勝トーナメントへ進出し、日本は敗退していた可能性が高い。つまり、"たった1ミリ"がワールドカップの歴史を塗り替えたのだ。
「ご利益がありそう」——吉田麻也が待ち受けにした“伝説の1ミリ”
この「三笘の1ミリ」は、日本代表のキャプテンを務めた吉田麻也にとっても特別な意味を持つ瞬間だった。
吉田は、TOKYO FMのラジオ番組「吉田麻也のチャレンジ&カバー」で、この出来事について語っている。
「僕も待ち受け画面を三笘の1ミリにずっとしてまして、大会が終わってもずっとしてまして、『もういいですよ』と三笘くんにも突っ込まれ…」
さらに、「何かいいことがあったかと言うと難しいんだけど、悪いことが起きていないので非常にいい意味でいいことの連続じゃないかなと思っております。」と語り、あの1ミリのご利益を感じていたという。
しかし、年が明けても待ち受け画面を変えずにいたため、「W杯を引きずっていると思われそうで、ついに娘の写真に戻しました(笑)」と話し、三笘本人からも「もういいですよ」とツッコまれる始末だった。
それほどまでに、日本代表の選手たちにとっても、この「1ミリ」は特別な意味を持っていたのだ。
「もしも1ミリがなかったら?」——試合の行方とワールドカップ全体への影響
では、もしVARが異なる判定を下し、ボールがラインを割ったとされていたら、日本はどうなっていたのか?
① 日本のグループリーグ敗退
もしこのゴールが認められなかった場合、日本はスペインと1-1の引き分けに終わり、勝ち点4にとどまる。すると、得失点差でドイツが日本を上回り、日本はグループ3位で敗退していた可能性が高い。
② ワールドカップの組み合わせが変わっていた
この結果により、スペインが1位通過し、ドイツが2位通過していた可能性がある。そうなれば、決勝トーナメントの組み合わせも大きく変わり、モロッコ vs スペインのPK戦というドラマも生まれなかったかもしれない。
③ 日本代表の歴史が変わっていた
日本が決勝トーナメントに進出しなければ、森保監督の評価は低迷し、新たな監督を探す流れになっていた可能性もある。さらに、この試合で評価を上げた三笘薫や田中碧が、世界から注目されることもなかったかもしれない。
つまり、「三笘の1ミリ」が日本代表の未来を変えたのは間違いない。
伝説となった「三笘の1ミリ」——サッカーの神はどちらに微笑んだのか
「サッカーは紙一重のスポーツ」と言われることがあるが、2022年ワールドカップの日本 vs スペイン戦ほど、その言葉が当てはまる試合はない。
吉田麻也が「ご利益がありそう」と語るほどの奇跡的なシーンは、日本代表の歴史に刻まれただけでなく、世界中のサッカーファンに語り継がれることになった。
もし1ミリ違っていたら、日本の未来は違っていた。
もしVARがなかったら、日本は敗退していた。
そして、もしこの試合に勝てなかったら、日本のサッカーは「歴史的な進化」を遂げることができなかったかもしれない。
だが、その「もしも」は現実にならなかった。
あの1ミリがあったからこそ、日本は勝ち、未来へと進むことができたのだ。
次のワールドカップでは、また新たな"奇跡の1秒"が生まれるのか。「三笘の1ミリ」を超えるドラマが生まれることを期待したい。
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