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窪塚洋介、ゴルフに目覚める 「絶対やらない」から週3回のゴルフ漬けへ、内観と成長の物語

「絶対やらない」と思っていたゴルフ、友人に誘われて渋々打った一球がまっすぐ飛んだ瞬間――そこから、窪塚洋介のゴルフ人生が静かに動き出した。週に3回、年間80ラウンドをこなすまでにハマった今、ゴルフは彼にとって単なるスポーツを超え、自分と向き合う“内観の場”となっている。 自然の中での一打一打は、体と対話し、深い集中を求められる瞑想のような時間。窪塚が「今を楽しむ」をテーマに、ゴルフという特別なフィールドで探求を続けるその様子を語ってもらった。 ※トップ画像撮影/松川李香(ヒゲ企画)

상이케다 텟페이 | 2024/11/23

週3回、年間80ラウンド! ゴルフが教えてくれた“内観”の魅力

― 窪塚さんがゴルフを始めたきっかけについて教えてください。

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撮影/松川李香(ヒゲ企画)

最初は『絶対やらない』と思っていました。ゴルフセットも倉庫にしまい込んであって、まったくやる気がなかったんです。でも、大阪にいる兄のような友人から『打ちっぱなしに付き合ってくれ』と誘われて、最初は断ったものの、結局連れて行かれました。

友人が一生懸命練習している間、僕はiPhoneをいじって時間を潰していたんですが、『洋介、ちょっと打ってみれば?』と勧められて、試しに打った一球がまっすぐ飛んだんです。驚いた友人が『お前、天才じゃん!』って褒めてくれて(笑)。もう一度打ってもまたまっすぐ飛び、『絶対始めたほうがいい』と背中を押されて、それで『じゃあ、やってみようかな』と思ったのがきっかけですね。

実際に始めてみるとどんどん面白くなって、今ではすっかり夢中です。さっきも練習に行ってきたところですよ」。

― どれくらいのペースでゴルフをしているんですか?

今では週に2〜3回は行くくらいハマっていて、年間ラウンド数も約80回にのぼります。40歳を過ぎてから、こんなに夢中になれるスポーツに出会えたことが本当に嬉しいですね。

ゴルフの魅力は、ただのスポーツとしてだけでなく、“内観”が求められるところにあると思います。自分と向き合いながらプレーする感覚がたまらないんです。俳優仲間にもゴルフをする人が多いのは、瞑想や集中力が求められるからかもしれませんね。

― 内観や集中力が必要なんですね。

ゴルフでは常に自分の体の状態を意識しなければならなくて、膝や肩の位置、構えの正確さなどを確認しながらプレーする。そのプロセスは、瞑想に近い感覚がありますね。

打ちっぱなしでの練習でも『今、自分の体勢が整っているか?』と瞬時に意識を向ける必要があるんです。自然にその動作ができるようになって、初めて“ゲーム”として本格的に楽しめるんだろうと思っていますが、まだそこには至っていません。ゴルフを始めて2年半、道のりは長いですね。今年の夏には、久しぶりにハーフで43を出せて、嬉しかったですね(笑)。

ゴルフ場は自然の中にあり、風や鳥の声、街中では感じられない自然を味わえるのも魅力です。仲間と一緒に行けば、ライバルとして切磋琢磨もできるし、でも最終的な相手はいつも自分自身。“内観”を通じて自分と向き合うスポーツなんですよ。

さらに、ゴルフを通じて仕事につながることも多くて、本当にいいことばかり。気づけば、すっかりゴルフに夢中です。

「対峙」から「寄り添い」へ 窪塚が選んだ自然体での自己成長

― 窪塚さんのお話を伺っていると、言霊の力やゴルフでの“内観”を通して、ご自身と向き合いながら成長を続けている印象を受けます。

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撮影/松川李香(ヒゲ企画)

そうですね。10代後半には“自分探し”をしていた時期もありましたが、今はその感覚とは少し違います。今は“自分と向き合う”というよりも、むしろ“自分に寄り添う”感覚に近づいてきました。

― 理想の自分に向かって手を伸ばしているような感覚でしょうか?

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撮影/松川李香(ヒゲ企画)

それとも少し違うんです。マンションからの転落事故で大怪我を負った後、レゲエミュージックと出会い、『卍LINE』としての活動をスタートしました。最初は“なりたい自分”を表現する場として始めたので、その理想に向かって背中を追いかけるような感覚でした。

でもある時から、自分が“卍LINE”として存在できるという感覚が芽生えて、追いかけるというより、すでにその“なりたい自分”と一体化していると思える瞬間が訪れたんです。

今は理想を追いかけるのではなく、今の自分を楽しみ、感謝しながら進んでいる感じですね。変わるべき時が来れば自然に変わっていけばいいと思っています。最近は3年ほど“腸活”について話す機会が増え、自分でも驚くほどです(笑)

専門家ではないんですが、実際に腸活の効果を感じているので、その体験を話しているんです。以前の自分には想像もできなかったことですが、こうして自然にそうなってきた感じですね。“なろう”としていたわけではなく、自然体でいるうちに、今の自分ができていったような気がしています

「エンジョイゴルフ」の新しい形―今を楽しみ、未来も見据える「8G SHOOT」

― 話を戻しますが、昨年7月にスタートしたゴルフブランド「8G SHOOT」は、ターフ上で映え、街でも着たくなるグッドデザインが揃っていますね。立ち上げの背景について教えてください。

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撮影/松川李香(ヒゲ企画)

きっかけは“ご縁”ですね。ゴルフにハマっていた僕に、仲間が『ゴルフブランドを一緒にやろう』と声をかけてくれました。アパレル業界で30年の経験を持つ彼は、生地やゴルフのニーズにも精通していて、自ら工場も持っている。デザインを手掛ける仲間も天才肌で、尊重し合えるいいチームに恵まれました。

僕もゴルフを始めて1年くらいで『いいのかな』と思いましたが、ブランドのコンセプトが“エンジョイゴルフ”で、これでいいんだと感じました。

“エンジョイゴルフ”には、スコアだけでなくゴルフの雰囲気や楽しさを大事にする思いが込められています。ブランド名『8G SHOOT』も“年齢”を意識したもので、年齢以下のスコアを目指すには健康でいることが大切。この名前には、“今を楽しむ”と同時に、将来も健康でゴルフを続けたいという願いが込められています。

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撮影/松川李香(ヒゲ企画)

― 「8G SHOOT」ではオーガニック素材やリサイクル素材が取り入れられていて、見た目だけでなく着心地も最高ですね。肌触りが良く、動きやすい。こうしたモノづくりに込めた思いについて教えてください。

代表は素材のクオリティにこだわっていて、オーガニックコットンやリサイクルナイロンなどサステナブルな素材を積極的に採用しています。

僕がYouTubeで『カラダにいい、ココロにいい、ホシにいい。』をテーマにした『今をよくするTV』をやっているのも、そうした考え方がベースにあるからなんです。無農薬の日本酒づくりや陶芸など、サステナブルな取り組みは“8G SHOOT”でも大切にしています。

僕のさまざまな活動には、すべて『より良い今を作る』という共通の目的があります。例えば、腸活や無農薬食が体に良いことに賛成しない人は少ないですよね。こうした“基本的な良いこと”をシェアしていきたいと思っています。俳優業、ゴルフブランド、無農薬の日本酒づくり、陶芸と、どれも別の花のように見えて実は同じ根から育っているんです。

「自分がハッピーじゃないと、誰もハッピーにできない」“幸せの循環”をつくる方法

― インタビューを通して「循環」や「還元」を意識されているように感じますが、その点についても教えてください。

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撮影/松川李香(ヒゲ企画)

まずは自分の中でしっかりと循環ができていることが大切だと考えています。自分がハッピーでなければ、他の人をハッピーにすることもできません。誰かのために自分を犠牲にするのではなく、自分が幸せでいることで、その幸せが自然と周りにも広がり、共有できるのだと思います。

自分のバランスを保つことは、結果的に世界全体のバランスにもつながると感じています。だからこそ、日々の内観を欠かさず、自分がストレスを感じていないか、無理をしていないかを確認し、内面的なバランスを取ることを大切にしています。

また、人と比べたり無駄な競争に巻き込まれないようにしています。自分らしくいることに集中していれば、他人への妬みやネガティブな感情からも解放され、前向きでプラスなことに意識が向くと思うんです。

もし何かがうまくいかなくても、時代や他人のせいにせず、『星のせいにしておこう』くらいの気持ちで進んでいけば、自然と良い循環が生まれるでしょう。自分の中に滞りがなければ、そのポジティブな循環が周りにも伝わっていくと思います。


窪塚洋介
1995年にドラマ「金田一少年の事件簿」で俳優デビューし、2000年にドラマ「池袋ウエストゲートパーク」で注目を集める。2001年公開映画「GO」で第25回日本アカデミー賞新人俳優賞と史上最年少での最優秀主演男優賞を受賞。2017年にマーティン・スコセッシ監督作 『Silence -沈黙』でハリウッドデビューを果たし、2019年に公開されたBBC×Netflix London制作の連続ドラマ「Giri/Haji」でもメインキャストを演じ、2024年はHBO Max×WOWOW共同制作ドラマ『TOKYO VICE Season2』に出演。12月6日からDMM TVにて配信予定の「外道の歌」でも主演を務めるなど、国内外で活躍。映画を中心に舞台でも活躍するほか、音楽活動、モデル、執筆と多彩な才能を発揮。カラダにいい、ココロにいい、ホシにいい。をテーマにした自身の番組『今をよくするTV』をYouTubeにて配信中。また、ゴルフアパレルブランド「8GSHOOT」、日本酒「福霧」などのプロデュースも手がけるなど、活動の幅をさらに広げている。


Hair&make:Shuji Sato(Botanica make hair)
Photo:Rika Matsukawa