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人気を集めた2024年のサッカー界!その「裏」で問われた勝利至上主義の賛否

2024年、圧倒的な強さと人気を誇った日本サッカー。W杯アジア最終予選では、日本代表は無敗で勝利を重ねている。またJリーグでは、J1が20チームに増加。優勝争い、入れ替え戦が白熱した影響もあり、リーグの最多入場者数を更新した。DAZNにて配信されている「UNSAID ~スポーツ界の表と裏~」#2では、サッカー界の輝かしい「表」の活躍を振り返りながら、その「裏」で起きた問題に焦点を当て、スポーツ界の未来のために熱い議論を繰り広げる。※トップ画像出典/VCG via Getty Images

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進化を続けるサッカー日本代表

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出典/VCG via Getty Images

日本サッカー協会では、2050年までのW杯優勝を目標に掲げている。実際、日本代表は重要な試合で着実に点を取って勝利を重ね、以前より大きく進化を遂げている。その強さの秘密のひとつには、日本代表のメンバーにクラブユース出身の選手が増えたことが挙げられるだろう。以前は高校サッカー出身の選手が多数派だったが、2022年カタールW杯で初めてクラブユース出身の選手の数が上回った。その背景について「日本には海外にはない部活文化がある」と元Jリーガ―でサッカー北朝鮮代表の鄭大世さんはいう。部活という魅力的な環境があったからこそ、以前はクラブユースが少なかったそうだ。しかし現在のクラブユースは「環境がよくなり、指導者にも恵まれている」「世界基準に近づいてきた」ため、子どものときにサッカーをする環境としてクラブユースという選択肢が増えた結果、日本代表によい影響を与えていると言えそうだ。

注目を集めた2024シーズンのJリーグ

またJリーグも30年後、世界一のリーグにするという目標が掲げられている。実際に2024シーズンは年間総入場者数が過去最多を記録した。鄭さんによると、2024シーズンに上位を占めたのは、球際を激しくいきながら人の能力でゴールに向かうチームなのに対し、世界は戦術が緻密で動きも細かいサッカーを目指していて、Jリーグの強さとは逆をいっているとのこと。世界一のリーグを目指すならば、「これをよしとするのか課題と捉えるのかが問われている」と自身の見解を述べた。

FC町田ゼルビアの戦い方から考える勝利至上主義とアンチフットボール

日本代表、Jリーグが大きな盛り上がりを見せた一方で、2024シーズンからJ1に初昇格し、最終節まで優勝争いを演じたFC町田ゼルビアには多くの批判が寄せられた。ロングスローを多用した戦術や激しいプレイスタイルなどが疑問視されたのだ。鄭さんは、応援しているチームが同じことをしてもファンは何も言わないため、「批判は全部負け惜しみ」と話す。また数年前まで「劣悪な環境」に身を置いていたチームが、現在は「スポンサーがしっかりしたところがついて、成功街道を描いたことに対して受け入れられない人がいっぱいいるからこういう言葉が出てくる」と分析。

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출처/Getty Images

世間からはFC町田ゼルビアの戦い方を、勝利至上主義やアンチフットボールと見る声も挙がっている。それに対し、「勝利至上主義でいいと思う。それがトップアスリートの宿命」よ元メジャーリーガーの西岡剛さんはコメント。「町田の戦い方は叩かれたかもしれないけど、監督からしたら一番の誉め言葉」とFC町田ゼルビアの戦術に理解を示した。また鄭さんは「どんな汚い手を使っても勝つ。プロだし勝たないといけない」と現役時代の心境を振り返る。日本では「マナーとかルールという意識が強い」。鄭さんいわく、日本の子どもたちは勝利よりフェアプレイを求められるが、海外の子どもたちは戦術的にファウル行為を使って相手を止めるなど、積極的に勝つためのプレイをするそうだ。そういう環境で育った相手と戦って世界一になるためには、勝利の意識を幼いころから根付かせることが大切と、意見を主張。さらに日本のサポーターについても「考え方をアップデートしなくてはならない」と語った。

選手とファンの適切な距離感

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출처/Getty Images

世界的に熱狂的なファンが多くいるサッカー界では、選手が相手チームから妨害されたり、暴言を浴びせられたりすることがよくあり、選手とファンの関係性を問題視する声がある。それに対して「選手の立場ではそれを我慢して競技に集中しなくてはならないのが課題」と鄭さん。一方で「サポーターにもマナーを求めるのは(日本の)文化」と言い、他国にまで求めるのは違うのではと考えを語った。

元バレーボール日本代表の迫田さおりさんは現役時代に「ファンはファン、私は私」と考え「ファンの方として距離は持っていた」と話す。選手の安全を守るためにも、選手やクラブとファンの間には、ある程度の距離感が必要だと考えられる。また早稲田大学教授で弁護士の松本泰介さんいわく「プロ野球は応援団の管理が厳格」で、バナー1枚出すのも許可制なのに対し、Jリーグはそこまで厳格ではないため、「ファンの想いがそのままダイレクトに出る応援」になるのではと解説した。

日本代表もJリーグも世界一を目指すサッカー界。ファンも何事もただ批判するのではなく、理解を持った上での支援や応援が求められている。

DAZN『UNSAID ~スポーツ界の表と裏~』
タイトル:#2 史上最強日本サッカー界-最強たる所以と勝利至上主義の是非-
配信日:12月16日(月)全5回 順次「DAZN Freemium」でも配信
콘텐츠:2024年のスポーツ界の「表」としての輝かしい瞬間を振り返るとともに、「裏」に潜む課題や語りにくい問題に焦点を当て議論する。

※記事内の情報は配信時点の情報です。