ココリコ田中直樹さんインタビュー後編 NBAに刻んだ八村塁、渡邊雄太の軌跡とパリ五輪への希望「当たり前に世界と戦えるメンバー」
7月26日に開幕を迎えるパリ五輪で注目競技のひとつがバスケットボール。日本勢の活躍はもちろん、世界最高峰の選手たちが集結する男子バスケは、世界中から注目が寄せられる。今回は「NBA芸人」としてお馴染みのお笑いコンビ、ココリコ・田中直樹さんに独占インタビュー。最終回では、最高峰のNBAの舞台で奮闘を続けてきた八村塁、渡邊雄太という日本人2選手についてや、昨夏のワールドカップでは日本中に感動をもたらし、パリ五輪での飛躍も期待される日本チームについて語ってもらった。※トップ画像:撮影/長田慶
レイカーズの中心選手に成長
--レブロン選手と同じチームに八村塁選手がいます。彼がレブロン選手から受けてる影響はありますか?
ウィザーズの時の八村選手ももちろん大好きなんですけど、やっぱりレイカーズに行ってからの八村選手の活躍ぶりですよね。
安定感というか、本当にいなくてはならない、欠かせないメンバーになっている。レイカーズというチームが持つ力と「レブロンがそこにいる」ということが大きいのかなと思います。
--八村選手がレブロン選手とチームメイトになって変わった部分はありますか?キャリアを重ねている部分が大きいですか?
安心感がまず違いますよね。それは経験を重ねてきたからというのもありますし、身体も違います。「NBAでのプレー」みたいなものが完全に固まってきたと思います。
しっかり自信を持ってコートに出られている印象を受けますし、勝手に見ている部分ですが、メンタルの部分は明らかに変わったような気がします。
--八村選手は今季レブロン選手と同時に出る機会が増えました。レイカーズの試合はご覧になっていましたか?
よく見ていたと思います。スターターで出るのが当たり前になってきて、しっかり得点も2ケタをとったり、素晴らしいスタッツを残しています。
ウィザーズの終わり頃から安定してきていたとは思うんですけど、レイカーズに行ってプレータイムを得て、プレー自体の波がより少なくなっているような印象を受けます。スタッツだけ見ても安定した数字になっていますね。
--八村選手のキャリアにおいて、レブロン選手の存在は相乗効果になっていますか?
それはあると思います。歳を重ねたレジェンドで、あれだけのプレーをする選手がそばにいて、学べる部分はすごいあります。供給されるプレーの一つひとつがスーパーで、その場面に自分自身がいるのは成長につながると思います。
출처/Getty Images
最高峰の舞台で奮闘した渡邊雄太
--NBAで約6年間奮闘した、渡邊雄太選手についてはどう思ってますか?
本当にお疲れさまでしたという感じです。もちろん、もう1年チャレンジが見たかったというのはありますけど、何より6年間これだけ戦うのは並大抵のことじゃないと思いますし、たくさんの感動を渡邊選手からはいただきました。日本でどこでやるのか、五輪も含めて、とても楽しみです。
渡邊選手はまだ最初の(メンフィス・)グリズリーズの時とかに、僕がサクラメントにいたんですよ。その時に怪我か2Aだったかで、行き来していた時期かもしれない。
「もしかしたらベンチとかには入ってるかな?」と思ったんですけど、その時の会場にはいらっしゃらなかったんですよ。それが1、2年目のどちらかだったと思います。見たかったんですけど、NBAの会場では見られなかったのが心残りですね。それでも本当にありがとうございましたという気持ちです。
--富永啓生選手のように新たにNBAに挑戦する選手も出てきていますね。八村選手、渡邊選手のような存在は指針になっていますか?
めちゃくちゃあると思います。田臥(勇太)選手がロングビーチ・ジャムにいて、(フェニックス・)サンズに行って、その後ロングビーチ・ジャムに戻った時に行かせてもらったんです。
そこで初めて田臥選手とお会いさせていただいたんですけど、田臥さんが切り開いたあの道をどんどんこうやって(次の)日本人選手が続いていっていることが凄いなと。
僕はいまだに田臥選手が大好きな選手で、そういった人から今の富永選手のような人に繋がっているんだと思うと素敵だなと思います。それこそ日本人の先輩、後輩の素敵な繋がりを感じたら嬉しいですね。勝手に誇らしい気持ちになっています。
※富永は6月26、27日のドラフトで指名されず別ルートでNBA入りを目指す
--渡邊選手は去年W杯に出ていました。NBAでの経験がチームにもたらす影響は感じましたか?
具体的には分からないですけど、絶対にあると思います。渡邊選手がチームにいるだけで、士気も上がりますし、いろんなことを吸収されていますしね。
河村(勇輝)選手が「このまま雄太さんを終わらせるわけにはいかない」とおっしゃっていました。まさにああいうことを選手に感じさせることができる選手がいるのは、チームにまとまりが生まれると感じます。
출처/Getty Images
国内外の有力選手が融合した勝てるチーム
--去年夏にW杯が盛り上がりました。ここ1年の日本チームをどう見ていますか?
本当に僕が見てもわかるくらい「ちゃんと日本が強くなってきている」というのは分かります。
現に予選は勝ちました。前回の五輪を経て、ちゃんと勝つということが想像できます。東京の時も全然戦えると思っていたんですけど、なかなか難しかったですよね。でもパリに関しては強敵ですけど、東京に比べてちゃんと勝てるという場面が想像できる。それくらい期待感のあるチームになっていると思います。
--比江島選手、富樫選手、河村選手などBリーグにも力のある選手が揃っていますね
河村選手も経験を積んで来て、比江島選手がいて富樫選手がいる。ほかにも何度も(五輪を)経験しているような選手がいて、もう当たり前に世界と戦えるメンバーがチームにいる。あとはゲーム展開とかその時の波もあるでしょうけど、何か一つ要素がカチッとハマれば、全然勝てるチームになっていると思います。
日々のBリーグの力がどんどん上がって来ています。プレーの一つをとっても、我々の見方だったり、応援の仕方だったり。ここ数年でBリーグのレベル、底上げがされているからそれが当然代表にも(還元されている)みたいなイメージがあります。そこに渡邊選手や八村選手が加わると、ワクワクするメンバーかなと思います。
--八村選手が去年のW杯にはいなくて、この1年でNBAで力をつけてきました。チームに合流した時チームはどうなりますか?
やっぱり中がポイントになると思います。日本の課題でもあると思うので、中を(ジョシュ・)ホーキンソン選手と、そこに八村選手がもう1枚入って来ることで、世界と戦えるインサイドになって来るんじゃないかなと思います。日本は外ではボールをしっかり回せるし、スピードがあるから、中が厚くなった戦いがみたいです。
--日本チームは今回どのくらいまで勝ち抜けますか?
目標はベスト8ですよね。そこには行ってほしいですよね。ベスト8に入ったら凄いです。全く届かないとは思えないので、そこには入ってほしいです。
僕は日本代表の目標と自分が掲げる目標を同じにします。メンバーのような感じで気持ちだけ帯同させていただいて、パリに自分の気持ちを送ります。
チームがベスト8まで進めば僕もベスト8、そこは同じでいこうと思います。
--パリ五輪を戦う日本にメッセージをお願いします
今の日本代表を見られてるのがまずはとても嬉しいです。
自分も一緒の気持ちで応援していけたらいいなと思いますし、楽しい(パリ五輪の)バスケになったらいいと思っています。
今の日本チームのメンバーなら世界の壁をこじ開けられそうな気がするので、新しい日本の歴史、新しい扉があく瞬間を見させてもらいたいです。その中でベスト8を掲げて応援させてもらいます。