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奥川打ちスラッガーも154km/h右腕も!戸田球場でBCLドラフト候補が躍動

ルートインBCリーグのドラフト候補が、9月30日、ヤクルト戸田球場に集結した。 例年ならば何度か行われるはずの、BCリーグ選抜とNPB二軍との交流戦。それは実質NPBスカウトにアピールするショーケースの場だ。 コロナ禍により開幕さえ危ぶまれた今年のBCリーグ。例年の70試合を60試合に減らし、極力移動を避けてリーグ戦を組んだ中、1試合だけ、交流試合をついに行うことが出来た。

Icon img 20200702 114958 井上 尚子 | 2020/10/19
BCリーグ選抜チームに選ばれたのは、投手10人、野手13人。指揮官は昨年BCリーグチャンピオンになった栃木ゴールデンブレーブスから、寺内崇幸監督(元巨人)が務める。

BCリーグの村山哲二代表は、試合前選抜された選手たちに「このようなコロナ禍の状況の中で試合をして頂くヤクルトスワローズの全ての皆様に、リスペクトの気持ちを持って臨もう」と話をしたという。
集結したスカウト・編成担当者は40人を超えた。

新型コロナ感染拡大予防のため、試合は無観客で行われ、報道の入場も禁止された。

(※以下の成績、写真及び選手コメントはBCリーグ・球団からの提供と、後日の取材による) 
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ヤクルト二軍は、ルーキー奥川恭伸を1回限定の先発としてマウンドに送った。奥川は2週間のノースロー調整からの復帰登板となる。

先発メンバーには若手のほか川端慎吾の名も見えた。スタメンマスクは嶋基宏、後に中村悠平が代わり、雄平が代打出場と相手にとって不足なしである。

初回BCリーグ選抜は1番赤羽由紘(信濃)、3番梶栄斗(埼玉)、5番牧田龍輝(神奈川)の2塁打3本により奥川から2点を奪うことに成功。

さらに3回には、ヤクルト3番手大西広樹から速水隆成(群馬)、牧田(神奈川)、内山翔太(栃木)の3連打でさらに1点を追加した。

ヤクルトは3回裏BCリーグ選抜3番手の高橋康二(福井)に対し、1番長岡秀樹、2番武岡龍世が連打を浴びせ、川端慎吾のタイムリーで2点を返した。

その後は両チーム無得点が続いたが、6回から3イニングを任されたヤクルト6番手杉山晃基が7回に乱れ、押し出しの1点を献上した。

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試合は交代した選手も再び出場でき、どちらが勝っていても9回裏まで行う特別ルール。BCリーグ選抜投手はヤクルトに追加点を与えず、打っては14安打でヤクルト二軍に4-2で勝利。独立リーグの実力を示した。  

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BCL:佐渡(1)、松永(1)、高橋(1)、末吉(1)、前川(1)、鈴木(2/3)、
齋藤(1/3)、手塚(1)、小沼(1)、石田(1)ー松井、森口、吉村

ヤクルト:
奥川(1)、市川(1)、大西(1)、鈴木(1)、大下(1)、杉山(3)、ジュリアス(1)ー嶋、中村、内山

※(  )内の数字はイニング

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試合後BCリーグ村山代表は「選手たちは勝ち負けを超えて、リーグの代表として圧倒的なパフォーマンスを発揮してくれました。

タイムリーを含め3安打と、完璧な打撃を披露した牧田選手、154km/hの剛速球を見せつけた前川投手をはじめ、選手たちが最高のパフォーマンスを発揮してくれたことが嬉しかったです」と総括した。

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牧田龍輝
(外野手・内野手・神奈川フューチャードリームス)3打数3安打1打点(二塁打1)

奥川、大西、大下と3投手から3安打の活躍を見せた神奈川の牧田は、打撃急成長中のスラッガー。富山から新生球団である神奈川に移籍し、鈴木尚典監督ら錚々たる首脳陣に薫陶を受ける毎日だ。

奥川については「年下ですから」と負けん気を見せるが、「やはりストレートは角度が良くて、さすがドラフト1位のすごいピッチャーだと思いました」と話した。

「打ったのはスライダー。多分抜け球です」左中間を破る二塁打を放ち、非凡な打撃センスとパワーを見せた。前日に鈴木尚典監督からNPBの試合球をプレゼントされた。

家を出る前、練習前、試合前とボールを見て、自分はNPBに行くんだとモチベーションを上げる。前日のナイターからデーゲームの交流試合に参加、さらに次の日はダブルヘッダーをフル出場と休む間もないが、「NPBに行ったら6連戦が当たり前なので」と意識を高く持つ。

「3安打したことは素直に嬉しいですが、長打を求められていると思うので、長打が1本だったことが課題です」

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梶栄斗 
(外野手・埼玉武蔵ヒートベアーズ)3打数2安打1打点1盗塁(二塁打1)


奥川からタイムリー二塁打、杉山から中前安打を放った埼玉の梶は、走攻守に存在感を見せる外野手。このところ打撃が良くなかったため、チームの片山ヘッドコーチとマンツーマンで指導を受けた。足の上げ方のタイミングが合っていなかったというが、「選抜の4日前くらいに感覚が合った」と言い、それが功を奏した結果となった。

奥川に対した打席では「打ったのはフォーク。チャンスだったので最低限の仕事をしようと思ってました」。ファールで粘った後にタイムリーという最高の結果を出した。

試合後半では、
中前安打で出塁後に盗塁も決め、「それが一番良かったんじゃないかなと思います。盗塁では勇気を持つことが大事だと思うんで、そこで一歩踏み出せたのは良かったですね」と振り返った。

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前川哲(投手・新潟アルビレックスBC)
1回無失点(被安打2奪三振1与四球1)

新潟の守護神、前川。自らのエラーや四球などで満塁としピンチを背負ったものの、この日154km/hを計測したストレートで押し、
代打の雄平からは五直、藤井からは三振を奪った。

「準備としては、通常と同じルーティンをこなし、集中力を途切れさせないよう心がけました。ピンチを作ってしまいましたが、焦ることなく、通常の試合と思いながら投球を行いました。雄平選手などの名のある打者と対戦し、良い経験になりました。ヤクルト打線は打者の懐が深いと感じました」。

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末吉恭平
(投手・埼玉武蔵ヒートベアーズ)1回無失点(被安打1与四球1)

埼玉でセットアッパーとして勝利の方程式の一角を担う末吉。ここまでの防御率は1点台前半も、4回先頭の渡邉にヒットを許し、普段は滅多に出さない四球も出した。

その後は抑えたが、「出来としては50点くらい。悔しいですね。最近ちょっと感覚自体もあまりよくはなかった。その中でもしっかり投げ切れたボールはありましたし、悪いボールもあった。調子なりに投げ切れたですけど、やっぱりもっと出せるというのは自分の中であったので、それをあの場面で出せなかったのは、僕の実力不足だと思います。ピッチングで一番重要視するのはストレート。やっぱり僕の持ち味、自信のあるのはストレートの切れ。残り少ないですけど、しっかり投げてアピール出来ればと思います」。

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高橋康二
(投手・福井ワイルドラプターズ)1回2失点(被安打3)

最速154km/h右腕として注目される福井の高橋は、3番手として登板したがヤクルト打線に掴まり、3連打で2点を失った。

「試合前、このBC選抜の場で何をアピールするか考えた時、細かいことは考えず全力で投げると決めました。終わってみれば緩急がなく、フォークが浮いてしまい、力んだストレートを狙われて失点してしまいました。リーグ戦なら切り替えて次に生かしますが、この大事な試合でやってしまったことがすごく悔しいです。残りシーズンもう一度冷静になり、しっかりアピールしていきたいです」

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松永健二郎
投手・富山GRNサンダーバーズ)1回無失点(被安打0奪三振1与四球2)

富山のパワーピッチャー松永。出だし連続の四球を与えたが、威力のある球で後続を断ち、しっかりと持ち味を見せた。

「1回無失点で抑えることが出来ました。初めての選抜ということもあり緊張もありましたが、NPBのチームを相手に投げられたことは、とてもいい経験となりました。この経験を生かして残りのシーズンも頑張ります」

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内山翔太
(内野手・栃木ゴールデンブレーブス)
3打数1安打2打点1四球

栃木の安打製造機・内山。3回のチャンスでは、ヤクルト2番手の大卒ルーキー大西からレフト前にタイムリーヒットを放った。堅実な守備も魅力の選手。

「自分の持ち味でもある積極的なバッティングが出来ました。勝負の年なので、残りのシーズン、全力で頑張っていきたいと思います」

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若松聖覇
(外野手・栃木ゴールデンブレーブス)
3打数1安打1盗塁

高卒ルーキーながらリーグ戦でも素晴らしい活躍を見せている若松は、途中出場でヤクルト5番手の大下からヒット。

「今日のこの貴重なBCリーグ選抜という舞台で、素晴らしい選手たちとプレーし、自分自身とても勉強になりました。この経験を残り試合に活かしていきたいです」

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手塚俊二(投手・栃木ゴールデンブレーブス)1回無失点(被安打1奪三振1)

先発としてもリリーフとしても安定した成績を残している手塚は、8番手として登板。

「このBC選抜でレベルの高い人たちが周りにいて、レベルの高い人たちを相手に試合が出来てとてもいい経験でした。今後これを生かして経験を積み、NPBという舞台に行けるように頑張っていきたいです」

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石田駿(投手・栃木ゴールデンブレーブス)1回無失点 (被安打1
与四球1)

最速153km/hのサイドハンド。試合の最後を締めた。

「今日の試合登板が9回裏からだったので、投げるまでに時間が多くあり、体が重くなったりし、気持ちを切らさずに保つのが難しかったです。またブルペンとマウンドがかなり違ったので、マウンドに上がった時、合わせるのに時間がかかって苦戦しました」

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松村誠矢(外野手・富山GRNサンダーバーズ)
3打数無安打1四球1盗塁

富山のスピードスター。無安打も5回に代走で再出場し、盗塁を決めた。

「今日のBC選抜は、3打数でヒットは出なかったですが、しっかり自分の良いところはアピールできたと思います。代走での盗塁を決められたのは良かったと思います。1試合だけでしたがNPBのチームと試合が出来、とても良い経験になりました」

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石森亨(外野手・新潟アルビレックスBC) 
2打数無安打1三振1四球1盗塁

強肩も光る快速外野手。かつて戸田で練習した2008スワローズジュニア出身。

「自分の武器である足を見せようと準備し、盗塁も初球から仕掛けられ、積極的にプレーできたのはよかった。12年ぶりに戸田でプレーが出来て嬉しかったです」

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内藤晃裕(内野手・新潟アルビレックスBC)
4打数2安打1三振1盗塁

安打数と打点はチームトップのキャプテン。マルチヒットで存在感を示した。

「初の選抜だったので、前日までは不安と緊張があったが、当日選抜メンバーと顔を合わせると緊張もほぐれ、いつも通りのパフォーマンスを出すことが出来ました。高いレベルで試合が出来て、とても楽しかったと感じています」

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小沼健太(投手・茨城アストロプラネッツ)1回無失点(2三振)

最速151km/h右腕。BCL選抜には4年連続選出。危なげないピッチングを見せた。

「前の日もチームの試合があったので特別な準備はなく、日頃と同じ準備をしました。(1回三者凡退に打ち取り2三振と完璧な結果)当日の調子は今シーズンいち良かったと思います。今シーズンの結果により他の選抜メンバーより自分への期待、評価は高くないと思いましたが、いい投球が出来たので、次のステージ(NPB)に近づけたのではないかと思います。今後の課題としては、調子に波があるので、いい調子を保てるようにしていきたいと思います」


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齋藤郁也
(投手・福島レッドホープス)1/3回無失点(1奪三振)

今季は守護神として活躍。鈴木のピンチを好リリーフ。

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鈴木駿輔(投手・福島レッドホープス)2
/3回無失点(1三振2四球)

即戦力の期待が大きい151km/h右腕。二刀流から今季は投手に専念し、10勝1敗の安定感を誇る。今シーズンのBCリーグでは奪三振王を獲得した。

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佐渡俊太(投手・信濃グランセローズ)1回無失点(三者凡退)

制球力抜群の左腕。初回3人を6球で片付け、スターターとして完璧なピッチング。

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森口練太郎(捕手・福島レッドホープス)
2打数1安打1三振

BCLで投手から転向した強肩捕手。

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松井 聖(捕手・信濃グランセローズ)
2打数1安打1四球

スローイングの速さは折り紙付き。打力もアップし総合力の高い捕手。

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吉村悟央
(捕手・石川ミリオンスターズ)
3打数無安打3三振

フルスイングが持ち味が魅力のチームに欠かせない捕手。

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赤羽由紘
(内野手・信濃グランセローズ)4打数1安打1四球(二塁打1)

広角に打ち分けパンチ力もある内野手。

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川﨑俊哲(内野手・石川ミリオンスターズ)2打数1安打

積極的なバッティングが魅力の高卒ルーキー。

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速水隆成(外野手・内野手・捕手・群馬ダイヤモンドペガサス)
3打数1安打1三振

内外野もこなす大型捕手。力強いバッティングが売りで、今シーズンは4割近い打率を残した。

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この日のヤクルト二軍には、BCリーグ出身選手の姿もあった。今年育成から支配下登録され、この試合の後に一軍登録となった松本友内野手(元福井)、大村孟捕手(元石川)、育成の内山太嗣捕手(元栃木)。そして二軍スタッフとして今年から在籍している宮沢直人ブルペン捕手(元新潟)だ。

村山代表は、「一番嬉しかったことは、私がグラウンドに立った時、彼らがそれぞれ一直線に挨拶に来てくれたことです。このリーグで頑張っている現役選手、このリーグを卒業した選手、みんなが私たちの財産だと改めて思いました」と再会の喜びを語った。

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NPB入りは狭き門であり、それが叶ったとしてもそこからがスタートだ。その入口に立つために、独立リーガーは全てを賭けて野球に打ち込んでいる。この交流試合の結果は必ずしもドラフトに反映されないが、彼らは大きな存在感を示した。

和田康士朗(ロッテ)、歳内宏明(ヤクルト)らが独立リーグの地位を上げようとしている中、次にどんな選手が羽ばたいていくのか。どれだけの力を示してそこへ到達するのか。全力の挑戦を見届けたい。

写真提供:
ルートインBC
リーグ
富山GRNサンダーバーズ
埼玉武蔵ヒートベアーズ選手会