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W杯“森保監督”の戦術はどう変わった? サンフレッチェ広島・W杯・現在の日本代表を徹底比較

森保一監督は、サンフレッチェ広島を率いた際に3バック(3-4-2-1)を軸にした堅守速攻のスタイルでJリーグを3度制覇。一方、日本代表では就任当初から4バックを基本システムとして採用し、2022年カタールW杯ではスペイン・ドイツといった強豪を相手に5バック気味の3バックで臨み、歴史的勝利を収めた。そして、2024年9月のワールドカップアジア最終予選で、日本代表はついに3バックを主軸とする新たな戦術へとシフトした。この変化は、広島時代のスタイルとどう異なり、日本代表にどのような影響をもたらすのか?本記事では、森保監督の戦術の変遷を紐解きながら、広島時代とW杯・現在の日本代表との違いを徹底分析する。※トップ画像出典/Getty Images

상이케다 텟페이 | 2025/02/20

森保監督の戦術スタイルとは?

森保一監督は、日本代表の指揮を執る前、サンフレッチェ広島を率いてJリーグを3度制覇(2012・2013・2015年)した実績を持つ。その当時の戦術の核となっていたのが、3バック(3-4-2-1)をベースにした堅守速攻のスタイルだった。

一方で、日本代表監督に就任してからは、しばらくの間4バック(4-2-3-1 / 4-3-3)を基本システムとして採用。

しかし、2022年カタールW杯では、スペイン・ドイツといった強豪を相手に5バック気味の3バックへとシフトし、守備を固めた上でのカウンター戦術を展開。これが見事にハマり、世界を驚かせる勝利を収めた。

そして、2024年9月のワールドカップアジア最終予選からは3バックを基軸に据え、より攻撃的なスタイルへと変化している。この変化は、どのような背景で生まれたのか? サンフレッチェ広島時代の戦い方と比較しながら、その違いを分析する。

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출처/Getty Images

サンフレッチェ広島時代の戦い方

「3-4-2-1」を活用した堅守速攻

森保監督が広島を率いた際、最も特徴的だったのが3-4-2-1システムを活かした堅守速攻 だ。特に、ディフェンス時に5バック気味のブロックを作り、ボールを奪った瞬間に縦へ素早く展開するスタイルを徹底。

この戦術を支えたのが、以下の3つのポイントだ。

1 守備ブロックの構築

・3バック(塩谷司、水本裕貴、千葉和彦)+ダブルボランチ(青山敏弘、森崎浩司)で中央を固める

・サイドのウイングバックが守備時には最終ラインに戻り、5バックを形成

2 ボール奪取後の素早い攻撃

・青山敏弘を起点に、縦への速い展開を重視

・シャドー(高萩洋次郎・石原直樹)と1トップ(佐藤寿人)が流動的に動き、スペースを作る

3局面ごとの数的優位を活かす

・3バックで数的優位を作りつつ、相手のプレッシングを回避

・攻撃時にはウイングバックが高い位置を取り、5トップ気味に展開

この戦術によって広島はJリーグを3度制覇し、日本屈指の強豪チームへと成長した。

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フォーメーション一例(イラスト/vaguely)

現在の日本代表の戦い方

日本代表が3バックを採用した理由

2024年9月、日本代表はついに3バック(3-4-2-1)を基軸に採用した。

なぜ森保監督は、W杯以降、代表チームのフォーメーションを変更したのか?

その大きな理由は、選手の適性とポジションバランスにある。

 

1 CBの層の厚さとSBの人材不足

・2024年9月シリーズのCB:谷口彰悟(185cm)、板倉滉(188cm)、町田浩樹(190cm)

・さらに冨安健洋(187cm)、伊藤洋輝(188cm)、高井幸大(192cm)と大型CBが充実

・一方で、左SBの人材が不足(長友佑都が世代交代、伊藤洋輝は本職がCB)

 

2 高さ対策(セットプレー・空中戦)

・ボランチ(遠藤航177cm、守田英正178cm)も空中戦には強くない3バックを採用することで、空中戦の強いCBを増やし、高さの不利を補う

 

3 列目の豊富なタレントを活かす

・久保建英、南野拓実、鎌田大地、旗手怜央が2列目でプレー可能

・アウトサイドには伊東純也、三笘薫、中村敬斗といったサイドのスペシャリストが揃う

このように、日本代表が3バックへ移行した背景には、戦術的な理由だけでなく、選手層の変化が大きく影響している。

広島時代と代表チームの3バックの違い

では、森保監督のサンフレッチェ広島時代の3バックと、日本代表の3バックでは何が違うのか?

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イラスト/vaguely

広島時代は堅守速攻型、日本代表ではより流動的な攻撃を意識 している点が大きな違いだ。

進化し続ける森保ジャパン、3バックの可能性とは?

3バックを採用したことで、日本代表の攻撃の幅は広がった。しかし、一方でウイングバックの選手に求められるプレーの負担が増している。

特に、

・左サイドの三笘薫や中村敬斗は安定感があるが、代役不足

・右サイドの堂安律は、縦突破の意識をもっと持つ必要がある

・対アジアではポゼッション、対欧州ではカウンターと使い分けが求められる

森保監督が率いる日本代表は、戦術の柔軟性を武器に進化を続けている。サンフレッチェ広島時代に築き上げた3バックを基軸とした堅守速攻は、カタールW杯で強豪国を撃破する戦術へと昇華された。そして、2024年のアジア最終予選では、より攻撃的な3バックへとシフトし、新たなフェーズに突入している。

Jリーグで磨かれた戦術は、国際舞台でどう変化し、どのように活かされているのか。クラブと代表の違いを乗り越え、日本代表が「世界と戦う戦術」を確立できるのかが、今後の大きな鍵となる。

森保ジャパンの次なる目標は、アジアを勝ち抜き、W杯本大会でのさらなる飛躍。果たしてこの3バックが、日本サッカーの未来を切り拓く答えとなるのか。戦術の進化とともに、日本代表の挑戦は続く。

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