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野村忠宏さんが語った柔道普及イベント「野村道場」開催への想い 角田夏実らパリ五輪金メダリストも“集結”で「こんなに楽しい一体型のイベントは初めて」

「DaiwaHouse presents 第十回 野村道場」が9月7日に横浜武道館にて行われた。五輪3大会連続金メダルを獲得したレジェンド、野村忠宏さんがプロデュースしたイベントは、「柔道の魅力を伝え、柔道の持つ価値を世界に広める」ことを目的にこれまで全国各地で柔道教室が行われてきた。第10回の節目を迎えた今回は、パリ五輪の金メダリスト3人が駆けつけるなど、大きな賑わいを見せて“五輪フィーバー”が会場を包み込んだ。※トップ画像:筆者撮影

아이콘 30716468 1048529728619366 8600243217885036544n이모 佳孝 | 2024/09/14

金メダリスト登場に大歓声

「野村道場」は、2019年に東京武道館で第1回が行われたのを機に、コロナ禍によるオンライン開催を経ながらも継続的な活動を行ってきた。

柔道界のレジェンド、野村さんの元にゲストが集まる形で実現してきた「野村道場」の第10回を彩ったのが豪華講師陣。特別講師として全日本男子の鈴木桂治監督が参加し、パリ五輪の柔道女子48kg級金メダルの角田夏実、男子81kg級を連覇した永瀬貴規、女子57kg級金メダルの出口クリスタがそれぞれ登場。超満員となった会場では大歓声が寄せられた。

プログラムは準備運動のあとに実技指導が行われ、毎回恒例となり好評を集めている野村さんや参加講師陣による得意技の指導。集まった子どもたちを前に鈴木監督は足払い、出口は大外刈り、永瀬は内股をそれぞれ披露した。また、角田は巴投げを野村さんに実践する場面がみられ、技へのアドバイスも送ると、子どもたちは熱心に聞き入る様子が見受けられた。

その後は乱取りが行われ、野村さん、鈴木監督を含めた歴代金メダリストが子どもたちと対峙する場面がみられ、レジェンドたちから直接指導を受ける貴重な時間も見られた。野村さんは「みんな一生懸命にやってくれた。柔道を頑張っているのがすごく伝わったし、真剣な表情や笑顔の表情などいろんな表情が見れると嬉しい」と振り返った。

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筆者撮影

「カナダの普及にも繋がればいい」

後半に行われたトークショーではパリ五輪を戦った3選手を労う光景が見られ、会場からは惜しみない拍手が巻き起こった。

永瀬は「東京大会は無観客だったんですが、今回のパリは有観客ですごい歓声のなかで楽しく戦えた。結果優勝できてすごく良かった」と前回との違いを語り、出口は「私は東京は出ていないので7年越しの五輪でしたが、試合は自分では納得できるものではなかったけれど、カナダに初めての金メダルを持ち帰ることができてカナダの普及にも繋がればいいと思う」とカナダ代表として掴んだ金メダルによる影響に期待を寄せた。

角田は、「東京五輪で落選した時に1度諦めようと思ったんですが、諦めずにパリを目指して戦ってきて良かった」と感慨深く語りつつ、「緊張感が違いましたし、応援してくれる方の声が全然違った」と初出場の五輪について振り返った。

イベントはその後子どもたちから選手への直接の質問コーナーやプレゼントをかけたじゃんけん大会が行われるなど大盛況のうちに幕を閉じた。

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筆者撮影

レジェンドが語ったSNSとの相乗効果

今回の「野村道場」終了後に野村さんが振り返ったのはパリ五輪の盛り上がりも後押ししての大盛況ぶり。

「最高の盛り上がりで今までで1番かなと思います。タイミングも良かったし、集まってくれたメンバーも最高だった。全てがいい形で第10回目を迎えることができた」と感想を語り、「昔の子どもの頃の思い出は山下先生とか、細川先生とか、金メダリストが道場に来てくれたのを鮮明に覚えている」と自らの体験を明かしながら、現役の金メダリスト3人も駆けつけたイベントに「今日は一生心に刻まれるような時間になったんじゃないかと思うし、そうであったら嬉しいですね」と子どもたちへの思いを述べた。

また、鈴木監督が「彼の存在がでかいと思っている」と重要性を述べたのがイベントの準レギュラー講師で、元強化指定選手のキャリアを持つ柔道ユーチューバーのドンマイ川端さん。

現役選手やレジェンド選手も登場するYouTube企画が好評を集めており、鈴木監督は「SNSの人間とリアルの空間が繋がって、すごく僕はいいと思う」とイベントとの相乗効果を語り、野村さんも「自分はこれからの時代、知ってもらうところで彼の力が必要だと思っている。彼のふざけたYouTubeも含めて、柔道に興味がなかった人に彼が柔道というものを届けている」と本イベントにも通じる柔道を伝えていくことの重要性を説いた。

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筆者撮影

パリ五輪を終えて駆けつけた金メダリストたちもイベント後には充実感を見せ、永瀬は「子どもから大人まで熱があって五輪を観てくれてたというのがありますし、やっていて僕自身も楽しかった」と振り返った。

また、角田も「3時間半があっという間でこんなに楽しい一体型の柔道教室は初めて。みんな巴投げをやってくれたりして、テレビでパリ五輪を観てくれたんだなと思いました」と感想を述べ、出口も「こういう柔道教室は自分が小さい頃はなくて、正直羨ましい」と明かしつつ、「一流選手の技術を見て自分なりに工夫してオリジナルの技を磨いていってほしいなと思います」と子どもたちへメッセージを送った。

イベントの様子はYouTubeでライブ配信され、会場の様子もSNSを通して届けられるなど、オンラインも活用した柔道教室として「野村道場」は大きな盛り上がりを見せた。この日会場に駆けつけた子どもたちや保護者にとっては、柔道の楽しみに直接触れて、現役や歴代のレジェンドと触れ合う貴重な機会となった。

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筆者撮影