テーブス海の挑戦!パリ五輪メンバー選出と日本バスケ界への貢献
彼がコートに立つだけで、周囲の空気が一変する。テーブス海、日本のバスケットボール界において、その名は常に話題の中心にある。彼のドライブ・アシストはまるで魔法のように相手ディフェンスを切り裂き、仲間にチャンスを作り出す。その華麗なプレイの裏には、どんな思いが隠されているのだろうか。パリ五輪の挑戦と、日本バスケ界をさらに高みへと導くためのビジョンとは何か。その真実に迫る。※メイン画像:撮影/小山真司
運命を変えたバスケットボールとの出会い
テーブス海がバスケットボールと出会ったのは偶然だった。元々はサッカー少年だった彼だが、小学校時代に友人が突然バスケットボールを始めたため、仕方なく自分も始めることにした。
「それが僕とバスケットボールとの出会いです」と彼は笑顔で振り返る。
テーブス海の父親もプロバスケットボール選手だったが、影響はほとんどなかったという。
「お父さんの影響は全くなかったですね」と海は笑う。「やっているうちに自分にもセンスがあると気づいて、バスケットボールを本格的にやろうと思ったんです」
バスケットボールにのめり込み始めた海は、ある日ふと「そういえば、お父さんもプロだったな」と思い出す。そして「教えてください!」と頼み、父親と一緒に練習をするようになった。
その特別な時間が、彼のバスケットボール人生の基盤となり、父親との絆を深めるものとなった。
バスケットボールを通じて、届けたいメッセージ
撮影/小山真司
テーブス海が最も大切にしていること、それは子どもたちに「大好きなことを全力で追い続けること」の重要性を伝えることだ。彼自身、プロの世界に入ってから、数多くの子どもたちと触れ合う機会を得た。そして、その度に感じるのは、バスケットボールというスポーツを通じてロールモデルとなり、夢を追う勇気を与えることの素晴らしさだ。
「大好きなことができる環境があること自体が幸せです。だからこそ、その環境に感謝しながら、全力で努力し続けてほしいです」
その言葉には、熱い思いとともに、未来を見据える視線が込められている。
弱点に向き合うトレーニング法
撮影/小山真司
テーブス海が常に意識していること、それは「自分の弱点から目を背けずに向き合うこと」だ。彼は練習や試合で、自分が苦手だと思うところを一心不乱に鍛え続ける。その結果、弱点が逆に特長となり、成長を実感することができる。
「技術的な面で何も弱点がない選手になることが究極の目標です」と彼は語る。これまでの試合での失敗や挑戦を通じて、彼は自分の弱点を探し続け、磨き上げてきた。引退する時には、「すべての弱点を克服した」と胸を張って言える選手になりたいと強く願っている。
A東京での成長と感謝の1年
撮影/小山真司
A東京での1年目、テーブス海は多くの収穫と課題を得た。その充実したシーズンを総括する際に彼の口から真っ先に出た言葉は「感謝」だった。
「宇都宮ブレックスではメインのガードではなく、滋賀では結果を残せていなかった。それでも『何もしていない選手』に先発ポイントガードを託してくれた感謝の気持ちは、今でも強く持っています。だからこそ、全試合に出て全力でプレイしたいと思いました」と彼は振り返る。
彼はファンやクラブ側、コーチ、スタッフへの感謝を常に忘れず、全力でプレイすることの重要性を語った。「残念ながら優勝できなかったので本当に責任も感じています。必ずステップアップして次は優勝できるように頑張りますので、引き続き応援よろしくお願いします」と力強く語る姿には、さらなる飛躍への決意がみなぎっていた。
日本バスケットボール界の未来を見据えて
출처/Getty Images
今後のB.LEAGUEがさらに盛り上がるために必要な要素として、テーブス海は「リーグ全体のレベルをもっと上げていくこと」が重要だと考えている。日本人選手も外国籍選手に負けないレベルに達し、リーグ全体の競争力が高まることが、さらに面白いリーグを作り出すと彼は言う。
「これまで外国籍選手と日本人選手でレベルの差を感じることもありましたが、リーグで揉まれていく中で日本人選手も成長しています。そのリーグのレベルが上がっていった結果、来日する外国籍選手のレベルも上がってきています。この流れは、もっと加速していくと思いますが、日本人選手も負けずにレベルを引き上げることで、リーグがさらに面白くなると思います」
彼自身も「FIBAバスケットボール ワールドカップ2023」での悔しさを糧に、次回のオリンピック競技大会でのメンバーに残れるよう、全力でアピールする覚悟だ。自身の特徴であるスピードとサイズを最大限に活かし、チームに貢献することを目指している。
출처/Getty Images
「前回は自分らしくないプレーをしてしまって、自分の持ち味であるサイズとスピードを出しきれませんでした。富樫選手、河村選手が得意なプレー以外の部分でアピールしていかないと、差がつかないと思います。(前回から)何かを変えるというより、自分が3人目のポイントガードとして、自分にしかできないプレーを徹底しながらチームに貢献できたらと思っています。試合に出たらディフェンスから流れを作って、トランジションでどんどんペイントアタックしていくのが自分の役割。そこを徹底していきたいです」
日本代表チームの強みと未来
출처/Getty Images
日本代表チームの強みは、サイズよりもスピードを活かした展開力と高いスリーポイントシュートの成功率にある。テーブス海は、その点で絶対に他国に負けないという自信を持っている。現在のバスケットボールのトレンドはポジションレスで、多彩なスキルを持つ選手が求められる。その中で、日本代表が多くの勝利を収めることで、日本のバスケットボール界の人気拡大に繋がると彼は信じている。
「日本代表がワールドカップの舞台で多くの勝利を収めることが、日本のバスケットボール界の、さらなる人気拡大につながると思います。ワールドカップでは、初めてTVでバスケットボールを見る方もいると思う。その新しい視聴者に対しても魅力的なプレイを見せ、バスケットボールの楽しさや面白さを伝えることが重要だと感じています」
未来を見据える彼の瞳には、バスケットボールの新しい風景が広がっている。その先には、さらなる飛躍を遂げる日本バスケットボール界が、彼の手によって形作られていく姿が映っているに違いない。